スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夏のむし物語 パートⅠ・里山に生きる世界最小のトンボ「ハッチョウトンボ」

本ブログでは、これまでに2回ほど、6月に活動する虫・ゲンジボタルを紹介してきました。
今回は益田地方に生息する貴重な虫、「ハッチョウトンボ」をご紹介します。

ハッチョウトンボは絶滅危惧種に指定されていて、近い将来、絶滅の危険性が高い貴重な昆虫です。
かつての昆虫少年で、50代半ばから再び虫にかかわって20年目を迎えるという、フォトクラブ高津川21の吉﨑佳慶さんの撮り下ろし写真と解説をお楽しみください。



《絶滅危惧種「ハッチョウトンボ」》
ハッチョウトンボは世界最小種のひとつ。全身の大きさは18~20mmと、およそ1円玉台の大きさをしています。
この大きさは、オニヤンマ(100mm)の1/5です。

haccho2s.jpg
《ハッチョウトンボのオス》
体長約18mm。成熟すると全身が赤化し、鮮やかな朱色になります。「赤い妖精」という愛称を持っています。

haccho3s.jpg
《ハッチョウトンボのメス》
体長約20mm。黄色・褐色・黒のまだら模様。オスとはまったく違う色彩をしています。これは、目立たないという保護色の役割をしています。

haccho4s.jpg
《羽化》
早朝の時間帯に羽化をし、1~2時間かけて乾燥していきます。羽化直後は緑色の腹と薄茶色の羽をしていて、オスかメスかの判別はできません。

haccho5s.jpg
《生息地》
常に、山すそからの湧き水のある日当たりの良い湿地で生活をします。6月から7月にかけての季節に多く見ることができます。産地は極めて局地的です。

haccho6s.jpg
《捕食》
一般的なトンボとは違い、上空に飛び立つことなく、草むらを徘徊しながら広範囲に捕食行動を行います。

haccho7s.jpg
《繁殖行動》
成熟したオスは、10時から14時までの昼ごろ、浅い湿地に1メートルほどの間隔でなわばりをつくり、メスが近づくと捕まえて交尾を行います。交尾の時間は10~20秒と大変短いです。メスは水辺に産卵を行い、オスは産卵の警護をします。

haccho8s.jpg
《住み分け》
主としてオスは湿地で生活をします。対してメスは草原で生活をすることが多いです。

haccho9s.jpg
《天敵》
ハッチョウトンボの最大の天敵はナガコガネグモというクモです。湿地の中に網を張り、ハッチョウトンボを捕獲します。成虫となったハッチョウトンボのおよそ1~2割が、網に捕らえられて死滅します。

(写真提供全て・フォトクラブ高津川21)

------------------------------------------------------------
[補足解説]

〈トンボの語源〉
「田んぼ」からきているという説が有力です。農耕の民として稲田の害虫を食べてくれる益虫としての慈しみの心から命名されたとも言われています。

〈世界最小種のひとつ〉
世界に生息するトンボは約5,500種です。そのうち、日本に生息する約200種の中で最も小さい種がハッチョウトンボです。

〈和名・ハッチョウの由来〉
江戸末期、尾張の本草学者・大河内存真の記録にある、「矢田鉄砲場八丁目にのみ発見せられ・・・」との記述から名づけられました。

〈生存期間〉
成虫になってからの生存期間は、通常、2週間前後とされていますが、1ヶ月以上生存したという報告もあります。

〈里山の環境指標種〉
ハッチョウトンボの生息状況は、里山の環境調査にとって重要な指標になっています。
近年、極端に環境破壊が進み、現在、ハッチョウトンボは絶滅危惧Ⅱ類にランクされています。
自治体によっては天然記念物に指定して、保存・保護に努めています。

〈移動方法〉
生息環境の悪化や生息地の拡大などで、やむなく移動する場合、ほかのトンボのように自力での飛行ができないハッチョウトンボは、日本トンボ学会などの実証調査の結果、風に乗って移動することが判明しています。
最近では、島根県立浜田高等学校の自然科学部も実証調査を行いました。
haccho3s.jpg
スポンサーサイト

コメント

管理者にだけメッセージを送る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。